6月になって各地のギャラリーが再開されて、僕もぼちぼちとギャラリー巡りを再開しています。7月になって、オンラインで開催されたKENZANの受賞作をリアルで展示するKENZAN SUMMITと美人画ボーダレスが開催されました。
KENZAN SUMMIT
KENZANは例年大会場で100人を超える新進作家の作品を一同に介して行われていましたが、今年はコロナウイルスの影響により、オンライン開催となりました。
■「KENZAN 2020 online」― Withコロナで新たな発表の場を創出
美術大学生有志によるアンデパンダン展「遊美」からスタートした美術展「KENZAN」は、美術業界の次世代を担う作家たちが、作家による作家のための芸術環境創造プロジェクトのシンボルイベントとして毎年開催、発展してきました。20代~30代の新進アーティスト約200名の作品1,000点超が見られる大規模美術展として、美術関係者や美術愛好家たちが新しい才能を発掘する場ともなり、プロとして大きく羽ばたく作家を輩出してきました。今回の新型コロナウイルス感染症で、美術作家たちは多くの展示発表の機会を失いました。「KENZAN」も会場展示をあきらめざるを得ませんでしたが、新進アーティストたちの団結力で、WEBでの展開という形で作品発表の場を創り出しました。
一方で、作家の先生方からいただく賞の候補となった作家 そして、お客様投票ベスト10作家の作品をリアルに展示するKENZAN SUMMITが開催されました。
今年はオンラインでの開催となりましたが、おかげ様でご好評いただきました。 このKENZAN EXHIBITION〈SUMMIT〉、通称見参サミットは、この展示に協力いただいているギャラリー、作家の先生方からいただく賞の候補となった作家 そして、お客様投票ベスト10作家の作品を展示しております。
会場は世田谷ものづくり学校 IID Gallery
会場は世田谷ものづくり学校 IID Gallery。学校の建物を使ったものづくりをテーマとしたワークショップの集まっている場所です。
その中の教室を使ったギャラリースペースで展示が行われていました。
丁子紅子さん
丁子紅子さんは同じモデルさんの前からが一枚、右から一枚、左からが一枚の三枚組で、しかも右からのショットのみ黒い衣装になっていて、女性の多面性が暗示されているような展示になっています。最近穏やかな優しい絵柄が多い丁子紅子さんの絵ですが、この絵は少し厳しい冷徹な表情をしています。
高久梓さん
高久梓さんは下着姿の少女が2枚。あどけない表情と、少女らしい少し硬い線の残る体に色気を感じます。
北本晶子さん
北本さんは水彩画とメゾティントを駆使する作家さんです。どちらの絵にも清楚さの中に毒があって素敵です。
大作2枚は小作品のような毒はなく、正統派の美少女画になっていました。個人的にはちょっと毒と影のある少女が描かれている、水彩の小作品が好きです。
美人画ボーダーレス
場所を池尻大橋から日本橋のみうらじろうギャラリーに移して、美人画ボーダーレス。こちらは2年ぶり2度めの展覧会です。
2017年に刊行されて大きな話題となりました『美人画ボーダレス』掲載作家による2年ぶり2回目の展覧会です。
江戸時代の浮世絵から連綿と続く「美人画」の系譜は、その時代の理想の女性像を映す鏡と言えます。
多様化した現代を生きる作家の描く「美人画」はどうでしょうか。
単に外面的な美しさを追求するのではなく、作家自身の考える美や理想とする生き方を表現するものであり、
そういった作家の個性が表れた作品のみが観る者の心を掴むのです。
粉川江里子さん
こちらにお邪魔しようと思ったのは、粉川さんの作品が展示されていたからです。粉川さんの絵は非常に細密に描かれているようでいて、よく見ると周辺部はかなり大胆に省略されています。色彩もリアルのようでいて、トーンを落として寒色系によった色彩になっています。おそらく彼女のから見える世界はこんなふうなんだろうなと思います。
山本大貴さん
山本大貴さんも非常に写実的なタッチで、しかし、トーンはほとんどモノトーンのような色彩を落とした仕上げになっています。サイバーなアクセサリーを付けているので、未来からやって来た少女のような何か現実感のなさがあります。タッチ自体は写真のような緻密な正確なラインなので、アンバランスさが魅力となっています。
紺野真弓さん
紺野真弓さんはイラストテイストの絵です。大きな目がちょっときつい視線を送ってくるので、視線に射抜かれてしまう感じがします。文句なしの美少女です。
粉川さん、山本さんの作品が並んでおり、その対面に紺野さんの作品があったので、3人の作品に囲まれる場所に立つと、3人の5枚の作品から送られてくる視線に射抜かれてくらくらするような感覚でした。これも原画ならではの感覚でしょう。
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