2/1〜2/7まで、大宮そごうの美術画廊で、丁子紅子さんの個展”憧憬”が開催されていました。
丁子紅子さん
丁子紅子さんは埼玉県大宮生まれの日本画家です。今回、大宮で個展をされるのは初めてという事で、「大宮凱旋」と喧伝されておりましたが、実はさいたま市での個展は2018年に浦和伊勢丹で開催されています。やっぱりご近所さんにとっては「大宮での個展」という事が大事だったのかもしれませんね。翔んで埼玉ネタになっちゃいますけど。
僕がお邪魔した日は紅子さん予告在廊の日だったので、ご近所の知り合いの方が多数訪れていて、紅子さんと地元トークを繰り広げていました。更に昨年6月誕生のお子さんも登場し、和やかな雰囲気でした。
会場
会場は広々ゆったりとしていました。浦和の会場より全然広いです。その広い会場を存分に活かした展示になっていました。
ここから
会場中央に展示されていた80号の「ここから」は、光輪を纏い、背中に蝶の羽をまとった穏やかなお顔をした姿は、両サイドにシンメトリーに配置された絵とともに、菩薩を従えた釈迦三尊像のようにも見えました。
そうやって見ると、背中に纏った蝶の羽が光背のようにも見えます。最近の紅子さんの描くお顔は、どんどん表情が穏やかになってきていて、菩薩を感じることも多かったのですが、遂に菩薩も通り過ぎて、彼岸の如来になれれてしまったのでしょうか。
紅子さんは以前より複数のモデルさんを使っているのですが、モデルさんの顔の違いより、その時の紅子さんの心の動きが絵に現れるのはご本人もおっしゃっていました。今は多分とても心穏やかで居られるのだと思います。
憧憬
個展のタイトルにもなっている憧憬は20号と一回り小さいですが、こちらはご本人も仏画を意識したものだそうです。そう言われて見てみると、着ている衣も、如来像が纏っている衣のように前が開けた着方になっています。一方で両脇に控える赤と青のワンピースを着た女性は華やかで、これまた如来に従う菩薩に見えてきます。ちょっとレトロな腰を絞ったワンピースは、紅子さんの作品ではあまり見ない姿ですが、こういう女性らしさを強調した衣装も良いものです。
他の作品たち
他の作品もメインの絵の両脇に花の絵を従えていたり、
二枚一対で互いに呼応するような配置になっていたりして、広い会場ならではの展示になっていました。
このような展示だと、複数の絵画それぞれが有機的に結びついて一つの空間を作っているので、もし僕が石油王だったら、展示会場丸ごと買い取ってコレクションにしたいと思ってしまいます。
感謝の言葉
会場を訪れた人に宛てたメッセージも置いてありました。絵から伺える凛とした姿と裏腹に、素顔の紅子さんはとても人懐っこい方で、訪問した人に次々に声をかけていました。半分ぐらいの方は僕のように古くからのファンのようでしたが、買い物ついでに覗きに来たような方にも気軽に声をかけていて、皆さん居心地良さそうに見学していたのが印象的でした。
丁子紅子さんは今も精力的に創作活動を続けていますので、今後も色々なところで展示が行われると思います。これからの作品も楽しみです。